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31 May

機能の美


「山居倉庫は裏から入れ」と酒田の方から教わった。表側と裏側の表情の違いをつくりだしてしまったのは、観光地ゆえの宿命といえるが、せっかくの風情を台なしにしてしまっているのは、それだけ街づくりというものが、むずかしいということを物語っている。それさえ、目をつむれば、力づよく独創的な機能美が展開していくのだ。それは山居倉庫という建築形態だけにとどまらず、ランドスケープにまでも影響を及ぼしている。同じ明治期に造られたレンガ倉庫とは似て否なるものだ。屋根からの伝導熱を防ぐ二重の屋根は、建物に鋭い陰影を与え、タールの塗られた壁は独特の表情を生み出している。強風を防ぐための巨大なケヤキ並木は、空間に潤いをもたらす。これらの要素ひとつひとつが、“街を歩くひと”の為に造られたものではなく、米穀の取引と付属倉庫として考案されたフォルムなのだ。機能と装飾に一切の無駄がない空間(場)に遭遇すると、果してエアーコンディショニングとは、建築家に自由を与えたのだろうかと考えてしまうのだ。
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28 May

友情の美


土門拳記念館は、谷口吉生の建築にグラフィックデザイナー亀倉雄策、彫刻家イサム・ノグチ、草月流家元勅使河原宏ら芸術家たちの友情作品が融合して、おだやかな芸術環境をつくり上げている。その芸術環境の受け皿でもある谷口吉生の建築は、広大なランドスケープの中に上品に配置されている。大きめのプレートにちょこんと盛り付けられた絵画のような料理といえばいいだろうか。土門拳記念館はその業績と広大なランドスケープに反比例するかの如く、建築の床面積は驚く程コンパクトだ。芸術家の知名度利用して様々な機能を詰め込めば、おのずと床面積は増大して郊外型の建築物に成り下がってしまうところだが、一人の芸術家のためだけに建築とランドスケープの面積対比を大きくすることで、環境にしみ込んだ特別な場を生み出している。そして館内に足を踏み入れば、そこは建築家の世界ではなく、来館者が作品と対峙するためのおだやかな空間に変わる。「街道をゆく」に収録された、東大寺二月堂修二会(お水取り)の描写が頭から離れず、夏(季節はずれ)に二月堂まで行ってしまったことがある。展示作品であった土門拳の修二会は自分の想像の中の修二会を凌駕する迫力に満ちていた。作品に対峙していると、いつの間にか建築を忘れてしまっていたのである。
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26 May

細部の美


酒田駅から歩くこと数分で、別世界へ到達する。「本間家旧別荘」大正時代からは迎賓館として使用されたこの建築は、まるで指物細工のような美しさ(造形)を醸し出している。見付の細い部材と手漉きガラスで造られた建具によって被われた外周は構造体を感じることはない。その精緻な外周に刃物のようなエッジをもった屋根が幾重にも重なって宙に浮いているように成立している。設計をしていて、当然のごとく細さや薄さに美意識を求めてしまうのは、何も現代建築の宿命ではなく、日本人の美意識の中にすでに備わっていたと納得することはできるのだが、はたして目の前の“細部の美で構成された建築”を現代建築はこえることができるのだろうか。技術的な面でさえかなわないのような遥かな高みを感じずにはいられなかった。その心地よい衝撃は駅前の風景からはまったく想像することはできない。海外の目で見れば、その美の位相に「日本人はいったい何を考えているんだ」と思うに違いない。
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25 May

酒田へ


駅を降りた途端、目眩におそわれたような気分になるのは、駅前の表情(風景)のなさからくるものだ。駅舎のデザインが良ければ丸くおさまるわけでもなく、目に飛び込んでくるすべてのものが、見られることを意識して構成されていなければ感動をともなうこともないだろう。駅前景観が画一化しているように見えてならないのは、どこの都市に行っても金太郎飴のごとくで、新しくつくられたものになるとその傾向は顕著だ。素材感のある建材(本物)で建築をつくることが容易でなくなってしまった現代の風景(建築)が、オートマティズムのごとく生産されていることが良くわかる。とにかく、駅前の風景から酒田を感じとることはできない。現代ではそういった不安感を払拭してくれる場所は駅から離れたところにある。とはいえ、そうでもしなければせっかくの良質な風景が現代のオートマティズムに飲み込まれてしまうのだから、程よく防波堤のような役目を果しているとも考えることができる。
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24 May

great white parkの歩き方その15


great white parkはルート(通り)番号でおおよその位置(住所)が判明する。ただし、それだけではルート内の位置関係までは把握することはできない。合計16のルートは立体空地の壁、グリーンベルト、水のいずれかに挟まれる。そこで、壁:表記なし、グリーンベルト:G(Green)、水(海、運河):B(Blue)と設定し、片側グリーンベルト:G、両側グリーンベルト:GG、グリーベルトと水:BGという表記でルート内の位置が示される。以前に紹介した、「CENTRAL FIELD」の住所はGG 3St、市松模様の「MID PARK」は15Stとなる。そのルートによって囲われる立体空地は「MID PARK」を含めて8ブロック、囲われていない立体空地は3ブロック、よってgreat white parkは合計11ブロック(立体空地)で構成される。このブロックは運河を基準に北側をcheese、南側がtofuと呼ばれている。
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