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31 August

Throbbing Gristle_10


薬師寺の双塔が唐の新様式(新構法)が直に伝わったその時代の最新の様式であるならば、法隆寺五重塔は百済を経由した分薬師寺よりも前の建築技術で建造されていると推理されている。その違いは一目瞭然であった。このふたつの塔の違いを目の前で実感したくてしょうがなかったのだ。軽やかな薬師寺西塔にくらべて法隆寺五重塔の各重は重々しい、千三百年の星霜によって屋根の勾配はきつくまるで山高帽子のようだ。「飛鳥乙女の高島田」とはうまいこと言ったものである。
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30 August

斑鳩寺


西院伽藍から東院伽藍までわずか数百メートル足らずだが、夏の日ざしと石だたみの照り返しが、数字以上の距離をつくりだしていた。それはでっかいフライパンの上を歩いているような気分だ。法隆寺境内の広さを改めて実感していると修学旅行の記憶が蘇ってきた。伽藍の建造物を見ていて思い出したわけではなく東大門から夢殿へゆく途中の乾いた土塀をながめているとき、そういえばここを歩いたよなと唐突に思い出したのである。伽藍の建造物に関していえば意識は懐かしさよりもその古代の美意識に魅了されていた。当時はどれもこれも同じような建物にしか見えなかったけれど人間変わるものだ。歴史と美を同時に味わっている自分は昔の自分からは想像できるものではなかったからだ。
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25 August

地上に降りた鴟尾


唐招提寺金堂の鴟尾は美しい。「金堂平成大修理」によって創建当時の天平の鴟尾と鎌倉時代の鴟尾は2010年に“平成の鴟尾”へとバトンタッチされる。金堂の修復は四年後を待たねばならないが、そのかわりふたつの鴟尾は間近で見ることができる。単体で見るとのっぺりとしているがゆえに異様な迫力に満ちていた。なによりも、その宇宙的でフェティッシュなフォルムを寄棟の左右に載せることを考えだした古代の建築家の美意識が自分の身体に何らかの影響与えてくれているようで不思議な気分にさせてくれるのだ。鴟尾のような高度なデザイン操作を現代のデザインから感じとったことはないが、そういったものを待ち望んでいるのも事実だ。
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24 August

Throbbing Gristle_9


その建築美を“凍れる音楽”とたたえられた薬師寺東塔と享禄元年に兵火による焼失から450年ぶりに再建された西塔は伽藍の中から見比べることはできない。必ずどちらかが際立ち見隠れして眼前の景色が展開していくのだ。そして回廊の外側に出てふたつの塔がやっと“揃って”見えてくる。1200年の月日が屋根の勾配を深くさせ落着いた佇まいをみせる東塔の存在が西塔の若々しさをより際立たせている。屋根の勾配が浅いぶん躍動感もある。このふたつの塔、見るひとによっては双児あるいは兄弟、パートナーと見ることができるだろう。私がまっ先に連想したのが、バレエの“パ・ド・ドゥ”だった。伽藍の外でこそ揃って見えるが伽藍内ではこちらの動きによって動的な景色を感じとることができたからだ。将又、世界バレエフェスティバルの影響か。
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23 August

「 慶溢万歳 」

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施主から戴いた数々の古い建築本のなかに「蘇る薬師寺西塔」という本があった。享禄元年に兵火によって焼失した薬師寺西塔再建までの道のりをまとめた本だ。インタビュー形式であるため再建エピソードに臨場感あり同時に古建築への知的欲求も心地よく満たしてくれる。再建の過程で明かされる高度な建築技術は唐から直に伝わった新様式であると推理されている。古代のひとが見ていた薬師寺の双塔はまさに今ある西塔そのものなわけで、東塔は未来の姿なのである。落慶時の姿と1200年後の姿を同時に見れるのだ。「慶溢万歳」がそのまま当てはまるたたずまいである。
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